P> 常温核融合が米国ユタ大学の学者たちによって発表されてから10年たった。当初はこの“画期的”な発見に、世界中の学者が追試を試み、マスコミの報道も加熱気味だった。ところが、多くの追試にもかかわらず、いっこうにその現象は確認されなかった。学者の多くは研究から手を引き、マスコミも常温核融合研究を擬似科学扱いしだした。
このような劣悪な環境にもかかわらず、研究を続けた研究者たちがいた。そして、ついに、常温核融合がミクロの世界の新現象であることをつきとめた。つまり、この現象は単純な水素の核融合などではなく、金属固体がミクロの核反応装置となって、核融合や核分裂などの核変換を行っていたのだ。この現象は、比較的少ない外部エネルギーで起き、多様な元素で同位体を生じるとともに、大量の熱量を発生する。また、現象を起こす金属も、ニッケル、チタン、タングステン、パラジウム、白金、金、など多様であることが分かってきた。この事実は、現象が、当初言われたような機構で発生するものではないにせよ、非常に多くの応用を期待させるものである。
本書が研究の新たなる出発点となることを願っている。
<執筆陣>
高橋 亮人:大阪大学工学部原子力工学科教授(工学博士)
沼田 博雄:東京工業大学材料工学専攻助手(工学博士)
山田 弘 :岩手大学工学部電気電子工学科教授(工学博士)
岩村 康弘:三菱重工業(株)基礎技術研究所(工学博士)
大森 唯義:北海道大学触媒化学研究センター助手(工学博士)
水野 忠彦:北海道大学工学部原子工学科助手(工学博士)
秋本 正 :北海道大学大学院工学研究科量子エネルギー専攻助手(工学博士)
[主な内容]
第1章 固体内核反応(常温核融合、CF)研究の始まり
第2章 固体内核融合理論入門
第3章 核反応粒子の検出
第4章 重水素吸蔵と,断層・ボイドの出現
第5章 ガスグロー放電法による元素生成
第6章 多層構造電極上での電解実験
第7章 金属軽水電解系での核変換反応
第8章 重水の電解による核変換
第9章 液中放電電解による熱と生成物
第10章 中性子計測技術
※ 内容が一部異なる場合があります。発売日は、東京の発売日であり、地域によっては1〜2日程度遅れることがあります。あらかじめご了承ください。
|