1989年3月、常温核融合がフライシュマンとポンズによって“発見”され、世界はこれによってエネルギー問題は即解決すると沸き返った。
ところが他の学者の追試が進むうち、その再現性の悪さから、現象そのものの存在が疑われだし、ついには“きわもの科学”の仲間入りさえした観がある。
しかし、実際には、困難な状況下にもかかわらず、多くの研究者の地道な研究は続き、ついにそのメカニズムも解明されつつある。
常温核融合は、熱の発生もさることながら、なんと、原子核が他の原子核に変化する、「核変換」現象だったのだ。
本書は、常温核融合研究を初期から手掛けてきた著者が、その研究を、国内外の一流研究者との交流のエピソードも交えて、解説したもの。
また、巻末では、ロシアの研究者との交流の中から得た、ロシア先端科学の驚くべき進展ぶりも報告されている。
[主な内容]
●フライシュマン・ポンズ発表の衝撃 ●パラジウムの電解で発熱
●チタンの電解でX線発生 ●常温核融合の追試実験
●地下室での中性子測定 ●常温核融合否定の記者会見
●論文受理 ●黒い析出物
●異常な発熱 ●発熱量の検討
●プロトン導電体 ●続く異常発熱
●第4回常温核融合国際会議 ●ロシア・ウクライナからの新しい流れ
●研究の焦点は反応生成物に ●常識化してきた生成物発生
●会議の中心は相変わらず「熱」 ●有望なコンテの理論
●水素電極反応とは ●フライシュマン・ポンズの間違い
●金電極の百合の花 ●ミクロで発生する巨大圧力
●ロシアでは20年以上も前から研究 ●ロシアでは重力研究も進んでいる
●核融合ロケットは米露共同研究
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